相談者の2つの顔(2面性)に注意

消費者の「相談員への顔」と「事業者への顔」が全く異なることがあります。
このことには最初は気がつかないことが多いです。

具体的には、
「センターの相談員と話をしているときには、特に普通の消費者で冷静に判断ができコミュニケーションしやすい消費者である」と思ったら、実は、「事業者に対しては、対応をひどく批判したり、暴言を吐いたり、ののしったりしている」、ということがあります。

そのことに気づくのは、
①事業者から事情を聞いていいるときに、「あれ?なんだかセンターへの話と違うことが多いなあ」と感じるとき
や、
②事業者からセンターに「消費者が相談員からこんなことを言われたので強く謝罪を要求されたが何を言ったのか?」という連絡(苦情)があったとき
に発覚します。

①の場合はセンターとしての具体的な行動をおこす前の事実確認の段階であることが多いので、「あ、この相談者は顔を使い分けているのかもしれない」と感じ、対応や発言を慎重にするなどの対策ができます。

②の場合は、すでに起こってしまった後なので特に注意しておく必要があります。
これがおこる要因としては、
相談員が信頼できる相談者だと思って、少し突っ込んだ内容の話をしたときに、その言葉の一部、すなわち「事業者が悪くて消費者が悪くない部分」を切りとって、「センターが事業者と話をしたら事業者が責任を認めたとのことだから、お前は謝罪して賠償せよ」と消費者が事業者に怒鳴り込むことがあります。
当然、話の一部を切り取っているだけで事実は違うのですが、切り取った内容のあげあしを取っているのです。
センターとしては、そういう意図で説明したのではないし、センターがあっせんしているのに直接事業者に連絡されても困るわけです。
起こってしまったことなので、正常な状態に戻す必要があります。うまくできなければセンターが双方から苦情を受けて板ばさみになってしまいます。

そのような消費者を簡単に見分ける(聞き分ける?)ことは難しいのですが、その「におい」は感じ取ることができます。
相談員に自分の主張に同意させるような誘導発言をする。「それって、あかしいですよね。」
お金の問題ではなくほかの消費者や正義のために相談している。
話が妙に事務的で淡々としている。
変に冷静。
このような微妙な違いは経験を積まなければわからないと思いますが、後から考えると、そうだったなと感じることがあります。

さて、信頼できる相談者と思い、少し気を許して発言した内容が、あげあしをとられたり、誤解されたりして、事業者からクレームがきた場合の対応は
素直に謝ることです。謝って済むことなら何度でも謝ります。
相談員のプライドとしてこれができるのかどうかですね。

普通は、「そういう意図でいったのではないです。消費者が誤解してるんです。」と反論したいところですが、言い訳じみており、「センターがこういったから私はひどくののしられてしまった」とこぶしをあげている事業者が納得することはありません。逆に発言の責任をとれと攻撃してきます。

結局は、普通の相談者ではよかったかもしれないが、この相談者には「相談員が適切に説明できていなかった」ことが原因です。
対応の難しい消費者だったわけです。
事業者へは、「消費者が誤解した」という責任転嫁ではなく、「私の説明が十分伝わっていませんでした」としてセンターに責任があることを謝罪するのです。

話し方の例として、
今回の件では迷惑をかけて、不愉快な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
私の説明が上手く伝わらなかったようで誤解されてしまいました。申し訳ありません。
すぐに、消費者に連絡して、責任もって説明しますので、以後の対応はセンターにおまかせください。
事業者から相談者には連絡しなくてもいいです。センターから説明します。

事業者にとっては、言い訳してくると思っていたセンターが、いきなり謝罪してきたので、責めるわけにはいかないでしょう。
これで何とかもとの正常な状態に戻すのです。

これぐらいの謝罪、なんでもないと思いませんか?
これを教訓に、2面性の可能性がある相談者への対応は慎重にする必要があるということを心得ておかなければならないと学ぶわけですね。

ちなみに、この相談者の2面性の顔は、事業者にも当てはまるし、相談員にもあてはまります。

え?相談員も?と思うこともありますが、消費者センターは消費者と事業者のトラブルをお互いに納得いく形であっせんする業務をしています。
納得の中には妥協も含まれます。裁判等の強硬な権限で持って白黒つけるのではなく、妥協点を探し落としどころを見つけます。
同じあっせん内容だとしても、事業者へは事業者寄りに少し装飾して、消費者へは消費者寄りに少し装飾して、お互いが少しでも有利に認められたと思うような関係で終わるのです。ウソをついているわけではなく、説明のニュアンスを微妙に変えるのです。

今回の話は経験したことがあるのなら、そうだなと感じるかも知れません。そのときと比較して参考にしてもらえたらともいます。
経験したことがないのであれば、疑似体験して、頭の隅に入れてもらえたらと思います。

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