企業不祥事と奇跡の信頼回復
梁瀬和男
2010年1月20日発行
同友館
1800円
ISBN978-4-496-04623-0
著者は家電メーカーの日立の出身で、大学教授などを経て、広告関係の審査にかかわっている。
この本では、企業不祥事が起きたときの原因やその後の対応についてメーカーに直接取材し、リアルに解説されている。
不祥事を起こした企業として取り上げラテいる企業は誰もが知っている大手メーカー8社。
それぞれを時系列的に解説されているので、不祥事が起こる原因など非常に勉強になります。
①エステー化学・・・冷蔵庫用の脱臭剤の使用期間について「優良誤認」表示
②ソフトバンクモバイル・・・「通話料0円」の新聞広告・テレビCM
③新生銀行・・・定期預金のリスクをチラシの裏に小さく表示
④日立製作所・・・環境によい商品の偽装表示
⑤三菱自動車・・・リコール隠し
⑥松下電器産業・・・石油温風暖房機の一酸化炭素中毒
⑦雪印乳業・・・低脂肪乳の食中毒
⑧不二家・・・期限切れの原料使用
人のうわさも・・・といいますが、覚えているでしょうか。
日本人はすぐに忘れてしまいますが、当時は大きな衝撃だったと思います。
消費者としては、しっかり心にとどめておく必要があります。
また、相談員としては大手メーカーとはいえ、腐った構図がどこにでもあるということを心の片隅に置きながらメーカーと応対してください。
一方、不祥事を解説するのとは別に、表示について分かりやすく解説されていますので参考になります。
特に印象に残ったポイント
①「お客様」と「消費者」とは違うというフレーズが何回も出てきます。企業にとって「お客様」とは自社製品などを購入利用してくれる人であり、「消費者」は自社商品を使わない人も含む事業者以外の人である。
②不当表示とは何か、について、景品表示法や食品衛生法など関連する8つの法律を一覧表にして解説している。
③不祥事はなぜ起こるか、4つの原因があり、何をすべきか解説している
※この部分の考え方は、相談業務にも十分当てはまるので是非参加にしてください。
(1)法的に問題はない → 社会通年、社会の常識で判断
(2)今まで問題なかったから、今回も大丈夫 → 「昨日」の常識は「今日」の「非常識」
(3)赤信号、皆で渡れば怖くない → 自ら考え、自ら判断し、自らの責任で行動する
(4)売上・利益至上主義 → 顧客満足度評価至上主義(営業ノルマ撤廃)
おすすめ度・・・表示に関する考え方が理論的に、体系的に、事例を通して、説明されているので、「勉強用に手元に置いてもOK」です。
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